*自然農の草刈

 

自然農で畑を初めて7年目、畑に生えている草の種類が変化していることに気が付いた。

元々ウチの畑は私の曾じいちゃんやじいちゃんばあちゃんが野菜や米を作っていた畑で、トラクターで耕し慣行農業を営んでいた。

私の代に代わってから、耕さず、虫や草を敵としない自然農に切り替えて、草一本生えていなかった畑とはずいぶんと様子が変わってきていた。

草を敵としないと言っても、野菜を栽培するので、草に負けないように草刈するのだが、私はもともと雑草と言われる草花が好きで、草刈を好んでする方ではなかった。

なので、夏になると、背の高い草も生えてくる。草の種類もどんどん増えた。当然、野菜が草に負けることはしばしばで、野菜を栽培しているのか、草を育てているのか分からないような畑になっていた。

使っている畑の広さは5畝程で、そんなに広くはないのだが、仕事も持っていたし、田んぼを始めたり、やりたい事をやっていると畑に費やす時間が減ってきて、夏場の畑の草はもっぱら草刈り機で刈ることが多くなっていた。

そして、7年目。畑に生える草が大きくなっている。というか、大きくなる草が増えていることに気が付いたのだ。

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例えば、ギシギシ、スイバ、秋の野芥子、猫じゃらしなど数種類のイネ科の草、セイタカアワダチソウ、そしてその草の合間には、チドメグサや蛇イチゴなどの宿根草も増えていた。

そして背の低い、広葉雑草が減っている。

なぜだろう?答えは何となく想像がついた。

何年か前の現代農業という雑誌の中で、草刈は高刈りが良い、と書いているのを読んだことがあったのだ。

地際で草を刈ると、背の低い広葉雑草は成長点が上のほうにあるため、切られてしまうとそれ以後生えてくることができず、

背の高いイネ科の草は生長点が下の方で土に埋まっている事もあるので、また生えてくることができる。

結果、背の高くなる稲科の草だけが残るというのだ。

だから高刈りすることで、背の低い広葉雑草はわき目を出して分けつして広がり、イネ科の草は減ると書いてあった。

私の草刈は時間がないことを理由に地際どころか土を削るくらいに刈っていて、すぐに草が生えてこないことを狙っていたが、

結果、背の低い草は生えてくることが出来なくなり、背の高い草が増え、宿根草が生き残ったのだ。

つまり、草刈り機で刈っていると、草刈り機でないと刈れない草ばかりになったということだ。

時間がないから使っていた草刈り機を使い続けていたら、成長スピードの速い、大きな草ばかりになり、草刈の回数も増えるという悪循環を作り出していたようだ。

畑を耕す農法ならいいかもしれないが、私の畑のように耕さない畑に機械は合っていなかったのだろう。

だいたいいつもの事だが、私の勝手な都合でやっていると、

畑に不自然さをもたらし、結局時間も手間もかかる羽目になるのだ。

気づくのが遅かったかもしれないが、ありがたいことにまだまだ畑には広葉雑草もたくさん生き残っている。

自然農の川口さんはよく「分別しない」という事をおっしゃられるが、やはり、かわいらしい広葉雑草にはいてもらいたいし、

強くて背の高い草は、見ただけで根負けしてしまうこともしばしばあるので少し勢いを押さえておきたい。

耕さない自然農で畑を続けるなら、畑に生える草とも上手く付き合っていかないと、ただ苦労するだけで、野菜は全然収穫できないなんて事になりかねない。

ヘタをすると、近所のおっちゃんに除草剤をまかれる羽目にもなりかねない。

だからこの夏の草刈の方法を変更することにした。

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5月に入ると夏草が芽を出し始める。

この頃の夏草はまだ小さいことと、春の草がまだ種を落としていないかもしれないのでまだ放っておく。

小さなイネ科の草は、茎が柔らかく、手で引っ張るとプチッと茎から千切れてしまう。

千切れてしまっては意味が無い。根が残っていることでまた生えてくるのだから。

そして、イネ科の草は沢山種を落としているから、かなり密集して芽を出している。ある程度ほっておくことで、勝手に自然淘汰され、本数が減っていく。

10cm程に成長したら、茎を持って引っ張れば、根っこごと引き抜くことが出来る。

土が固くて根が抜きにくい場合は鎌を土に少し刺して、根を浮かせてあげれば簡単に抜くことが出来る。

引っこ抜けたなら鎌で草の根についた土をトントンとたたき落としてから、野菜の株元に敷いておく。

土を取っておかないと、置いたところでまた立ち上がってくる。

イネ科の草は生命力が強いのだ。なめてはいけない。

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そうやって、野菜の苗を植えながら、畝に生えた草を抜いていく。

草刈り機ではなく、鎌と手で草を取るというと面倒に感じるのだが、

抜いたものはもう生えては来ない。

1回こっきりの仕事なのだ。

もちろん、遅れて芽を出してくる草もあるけれど、その頃には野菜の苗も生長してくるから焦らなくても大丈夫なのだ。

これを、夏草の勢いが一番強くなる夏至の頃まで続ければ、

もう草の数はある程度制限されているし、野菜の苗は草に負けない大きさになっている。

人の眼を盗んで大きくなっている草もいるけれど、

本数が多い訳ではない。株元を見つけて引っこ抜けばいい。

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もう夏至を過ぎると、気温も湿度も高くなり、手で草を引っこ抜くなんて労働は出来なくなってくる。

そして7月に入ると、今度は蟻が噛んでくる。

産卵時期の蟻は、草を取ろうとする私の手をよじ登り、必死になって腕を噛んでくるからたまったものではない。

ここでやっと草取りを諦め、成るに任せることにする。

草は全て取ればいいと言うものでもない。

去年も一昨年も、梅雨が終わってから雨が全く降らず日照りが続いた。

カラカラの畑の土を潤してくれるのは草達だった。

抜いてから土の上に敷いたものよりも、生きている草のほうが水分を保持してくれるように思う。

彼らのおかげで、あれだけの日照りであるにも関わらず、水やりの必要はなかった。

あくまでも、野菜の生長を妨げる程の草が無い状態にしてあげれば、

野菜はちゃんと草とも共生していけるのだ。

ここから後は、高くなった草を草刈り機で高刈りしていけば、

青々とした元気な姿の畑が見えてくる。